【ファッションイラスト100年史】

はじめての本の紹介は

ファッションイラスト100年史(100 years of Fashon Illustration)」をご紹介します。

2017年の割と最近の本ですが元々の発行部数が少ないようでもう絶版になっているようで、価格も高くなり始めて安定していないようですね。

内容としてはその名の通り1900年代ごろから現代までのファッションイラストを紹介している本です。

今と昔とではファッションイラストの存在意義が多少違っており、現代ではファッションの紹介をするにあたって写真が基本で、イラストはブランドやコンセプトのイメージを伝えるための手段として使われていることが多いと思います。

100年ほど前では写真が一般的ではなかったため、現代の写真と同じようにイラストを使ってファッションの紹介がされていました。100年前となるとプレタポルテ(既製服)はまだなく、オーダーの時代だったためそのイラストを見て最新のスタイルを知りオーダーをしたり、プレタポルテの時代が始まってもしばらくはイラストの時代でしたので同じようにイラストで紹介されていました。

そのためファッションイラストレーターという仕事も一般的で当時は女性の花形の仕事でもありました。

この書籍では100年間のファッションの流行やメディア等との関わりと合わせてイラストが紹介されています。

時代ごとのイラストに特徴もあれば、同時代でも作者ごとで違うものもあり、そういったところからその当時の流行なども見えて大変興味深い内容となっています。

説明も端的に短く紹介されているためとても読みやすくわかりやすいです。

ただ、逆に言えば詳しくは紹介されていないためある程度のファッション、ファッション史の知識がない方だとなんのことかわからない所があるため、この本でファッションの歴史を1から学ぼうという方にはおすすめできません。

ファッション史に詳しい、もしくは知らないけど単純に色々なファッションイラストを知りたいという方であればおすすめです。

私もそこそこファッション史には詳しいと思っていましたが、こんな人もファッションイラストを描いていたんだと思えたり、聞いたことものない素敵なイラストを描かれる方を知れたり、より当時の時代背景がわかったりしてよほどのファッションマスターの方でなければイラストに興味がなくともおすすめの書籍です。

個人的な好みだったイラストをいくつか紹介します。

・「レーヌ・ボート=ウィロメ」のアメリカVOGUEのイラストがラフで透き通っているが緑と赤の色彩のバランス感が絶妙でした。

・「クリスチャン・ベラール」のクリスチャンディオールのニュールックの「バー」を描いたイラストが繊細なタッチで描かれて白と黒を基調にしているが黒いスカートとハット、手袋が黒とネイビーで陰影を描いていてさり気なくドラマチックな色彩感で素敵でした。「ルネ・グリュオー」の同じ「バー」のイラストも掲載されていてその比較も面白かったです。

・「アンディ・ウォーホル」もファッションイラストを描いており、レインボーストライプの単調だが豊かな色彩のイラストや様々なヒールが散りばめられたイラスト等、彼のポップなセンスがさく裂していました。

・「中原淳一」のイラストは60年代のクールな色気のたっぷりな日本的なイラストが素敵でした。

・「ボビー・ヒルソン」の木炭でラフに描かれたイラストはパリ的な印象で可憐さの中に上品さがあり、このミニ丈のAラインコートは60年代のミニ丈の流行った流行のスタイルでとても素晴らしい丈のバランス。

・「キャロライン・スミス」のイラストは複数の女性が描かれそれぞれ様相の違う70年代的なファッションがとてもかわいい。そしれそれを明るめのトーンの赤・黄・緑の3色の色を基調として描いており、その色彩のバランスが素晴らしい。これは男でも着たくなる…。

・「ZOLTAN+」のヨウジヤマモトのイラストがとてもかっこいい。陰影のない黒を基調にワンポイントの赤が入ってとてもヨウジらしいスタイリッシュさがあるが、よく見ると黒ではなく、限りなく黒に近い暗い紫で描かれており、体の中央に少し明るい縦のラインがありそこが紫とポイントの赤のいい塩梅になっていて素敵でした。

著作権の問題があるのでそれぞれイラストをこちらに掲載することはできませんので、画像検索のリンクを付けておきました。検索結果には出ない絵も多数あり、上記はあくまで私の好みですので全く違ったイラストも多数掲載されているので是非本で確かめられてください。

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